今回は私が中学校の通級指導学級で行っていた「自立活動」の授業をもとに、自宅で行える発達支援のアイディアについて紹介します。
全てをやる必要はないです。
お子さんのやってみたいと思うもの、ご自宅でできることはなにか考えるヒントになれば嬉しいです。
目指してほしいのは「自信」と「安心」
「できないことをできるように」「将来大人になって困らないように」そういう願いのもとに、いろいろなことに挑戦させてみるのはとても良いことです。
ですが、無理やり嫌がることをやらせたり、出来なかったら罰を与えたり、そういうことは私はやってほしくないです。
発達障害のある子は特に
「自分に自信がありません」
(超自信満々な子もいますが…落ち込むときは落ち込んでいるはずです)
ほめてもらえる機会も他の子より少なく、怒られたり失敗したりする機会は多いです。
まずはやってみたい!と思うことにおうちでは「安心」して挑戦できる環境を作ってあげてほしいです。
そしてちょっとでも良いところがあったらほめてあげてください。成功体験を積み重ねて「自信」をつけていけば、他の人よりできないことが多くても、前向きに生きていけると思います。
ちなみに自立活動の時間には何をやるか・・・
情緒障害等の指導学級で行う「自立活動」の授業には6つの項目あります。
その内容を超ざっくり言うと
- 自分のことを知ろう
- 他人の気持ちを知ろう
- コミュニケーションをとろう
- 健康に過ごそう
といった感じです。将来社会に出て生活をするうえで、必要なことを身につけるための勉強をします。
子ども一人一人の特性や苦手なこと、できるようになりたいこと、学校生活、家庭での困り感などから「どんな勉強が必要かな?」と考えます。
お子さんの
- 苦手なこと
- できるようになりたいこと
- 好きなこと
- 夢中になってやれること
は何でしょう?
お家でもできるアイディアを紹介するので、お子さんの力を伸ばすものを考えてみてください。
【運動】身体を動かして、感覚の刺激と落ち着きを
私は「とにかく体を動かすべき!」と思っているので、まず運動系を紹介します。
体を動かすと自律神経が整い、落ち着いて生活ができたり、イライラがなくなったりと良い影響がたくさんあります。
詳しくは下の記事にも書きました。
運動は本人がやりたくてやるのが一番なので何でもいいです。
ですが、ADHDに特に良いと専門家のレイティ博士が言っているのは、複雑で集中力が求められる動きをするものです。(下の本より)
おうちでやるならダンスとかワークアウトがピッタリです。運動するとセロトニンが分泌されて、よく眠れます。睡眠に悩む子どもにも挑戦してほしいです。
ダンス
好きな音楽やアイドルグループがある子は、動画を見ながら体を動かしてほしいです。
リズム感や手足の連動が必要なので、多くの神経を使って運動することになりとても良い刺激になります。
上手にできなくても、リズミカルな動きによって幸せホルモンが分泌されます。朝にやるとそのあと、落ち着いて一日をスタートできます。
筋トレ
運動部に入っていたり、キレイな体に憧れがある子は筋トレをしましょう。
運動は体の健康のためだけでなく、メンタルの安定にもとても効果的です。
任天堂のゲームで「リングフィットアドベンチャー」というのもおうちで走れるのでオススメです。品切れがずっと続いていますが…
Switchがあれば、ボクシングもあります。ストレス発散にもなります。
激しい運動が嫌いな子は歩きましょう。
家の周りを散歩する。
激しい運動でなくても、散歩をするだけでも十分良いです。
身体を動かせば血流が良くなり、日の光を浴びて歩けば気分も晴れます。
たかが散歩、されど散歩で、メンタルにも健康にもとってもいいです。
細かい集中力の必要な動きというと楽器も良いです。
【楽器】聴覚と指先を使ってワーキングメモリー、短期記憶を鍛える
好きな音楽がある子には楽器を買ってあげるのも良いです。
リズムに合わせて、小刻みな動きをする点では、運動に近いかもしれません。
耳や指先を使って練習をして、ワーキングメモリーや短期記憶が鍛えられます。

ただ、うまくいかないと飽きちゃうので、教えてくれる人や褒められる機会があったほうが良いです。
習慣化するためにはコツがあるので下の記事を参考にしてください。
私は三線やキーボードを使って演奏していました。
三線
上に載せた、自分で作る三線を買って、組み立てました。色も塗れば、工作、絵付け、演奏といろいろな作業を行うことができます。練習には十分使えるのでオススメです。
ギターはかっこいいですが、すぐにはうまくならないので、自信をつけるためには難しいです。
三線は弦が3つなのと、1回に1つずつしか押さえないので簡単な曲ならすぐ弾けるようになります。
私たちは「きらきら星」から練習をはじめて、「海の声」が弾けるようになりました。
ピアノ
「Simply Piano」というアプリを使って、アプリに教わっていました。
ゲームのような感覚で練習できるので飽きずに続けやすいです。
【ボードゲーム】他者とコミュニケーションをとる、ルールを守る
- 他者との関わり方
- ルールを守ること
- 勝つために論理的に考えること
これらの力を鍛えるのにボードゲームはとても良い手段です。
おすすめのボードゲームについてまとめました↓
発達障害の子におすすめのボードゲーム32選【子どもと一緒に】
ボードゲーム
数字の書いてあるカードを並べ、相手の持っているカードを当てるゲームです。
楽しく遊びながら、論理的思考とコミュニケーションを行います。
お金を稼いで、お店を建てて、自分の街を発展させていくゲームです。
他の人の順番のサイコロの目が自分にも関わってきます。
- 他人に意識をむける
- もうかるお店を建てる
- お金を貯める
自分なりの戦略を立てて、遊ぶことができるゲームです。
【料理】安全管理や同時作業、見通しを立てる
包丁や火を使う場合は注意が必要ですが、手際を見ていると得意なことや苦手なことがよくわかります。
- 安全に作業ができるか?
- 同時に2つの作業ができるか?
- 次に必要なものを予想しながら動けるか?
- 分量を正確にはかれるか?
- だいたいで分けられるか
料理は、器用さ、手際の良さはもちろんですが、一緒にやってみるだけでたくさんのことがわかります。
家族で一緒に作ると、いい思い出になったりもします。僕も家族で餃子を作ったのをいまだに覚えています。
餃子
餃子はタネをこねたり、包んだり、一緒に作るのにピッタリな料理です。
「食育」「家族で作る」を推しているマッスルグリルの動画を紹介しておきます。
たこやき
たこ焼きもみんなでやると楽しいです。作りながら食べることができるので、手伝わせやすいです。
クッキー
お菓子をラッピングして、身近な人にプレゼントすると、お礼を言われる機会になります。
誰かを喜ばせる経験というのは子どもにとって、とても大切な経験です。
【パズル】立体感覚やボキャブラリー、ワーキングメモリーを鍛える
パズルも脳に良いものがいっぱいあります。
「楽しくワーキングメモリーを鍛える」が目標です!
同時に、
- ボキャブラリーを増やす
- 推理力をつける
- 最後までやりきる
これらの力も一緒に身につけることもできます。
大人も一緒になってやると、子どももやる気を出すかもしれません↓
【簡単】子どもの「やる気」と「自信」を引き出す一言!「○○しよう!」
図形パズル、数字パズル
立体パズル
立体感覚を養うのに、3Dのパズルを使っていました。集中力や推理力も鍛えられます。
中学生になると数学の立体図形の分野で、文章やイラストを見て3Dの想像をする力が求められます。まずはパズルで立体に親しんでほしいです。
クロスワード
クロスワードは
- ボキャブラリーを増やすこと
- 埋まったマスから他のマスを推理すること
この2つの力をつけることができます。
個人的なオススメの本は上記の脱出ゲームの会社が作っているものです。ちょっと難しいですが、おどろきのしかけ付きでみんなで夢中になってやりました。
クイズ集
マンガで学習
パズルではありませんが、読書はもちろん頭に良いです。読書が苦手な子はまずはマンガからでも良いので読む習慣をつけることをオススメします。
【中学生編】学級文庫にしてほしい、子どもに読んでほしいマンガ5選
【進路】自己理解、将来について考える
将来の夢を見つけたり、行ける高校を探したり、「これからの自分」が想像できると、勉強も他のことも頑張る意欲がわいてきます。
発達障害のある子には見通しがたたないことが嫌いだったり、不安になったりする子もいます。
卒業後の進路や将来やってみたい仕事、アルバイトなどについて時々話し合ってほしいです。
進路
身近にどんな学校があるか話したり、どんな学科があるか知っておくことは大切です。見学に行くのもモチベーションアップになります。
発達障害のある子は進学先があるのか不安になることも多いです。「絶対に自分が行きたい学校に行けるか?」はわかりませんが、行ける学校は必ず見つかります。
その選択肢を増やすために、はやめはやめに話し合いや見学をしておくことをオススメします。
通信制高校や定時制高校について↓

職業
小学校でも中学校でも職業調べや職場体験等がありますが、子どもたちは思ったよりも仕事のことについてわかっていません。
ぜひお子さんに「先生って1ヶ月働いたらいくらもらえると思う?」と聞いてみてください。
答えは初任給で20万円くらいです。
近い答えが返ってくれば良いですが・・・思ったより知らないんです。
なので代わりに本を置いておいたり、テレビを見せたりしたら良いと思います。
- どんな仕事があるのか?
- 1ヶ月働いたらいくらもらえるのか?
- 自分が好きなことは仕事になるのか?
まずは知ること。そのあとに「自分にやってみたいものはあるかな?」と考えてくれたら嬉しいです。
おすすめの本とNHKの番組です↓

あわせて参考に↓
【創作】集中力、想像力、微細な作業力を鍛える
モノを作ることは、集中力、想像力、論理的思考力などいろいろな力を総動員する必要があります。
ラQ
ガンプラ
プラモデルでもガンダムのプラモデルは、接着剤やハサミが必要ないので作りやすいです。
設計図を見て、対応するパーツを組み合わせて作るので、作業練習としても優秀です。
塗り絵
ぬりえは自律神経を整えると、最近は大人向けにも流行っています。
もちろん子どもにも効果的ですが、私はマンダラ塗り絵のようなものを勧めています。
誰が塗っても失敗しないものがいいな、と思っているからです。
好きなキャラクターとかがあればもちろんそれで構いません。
スクラッチアート
失敗しづらいお絵描きには「スクラッチアート」もあります。
線に沿って、ペンで削る、慎重な作業の練習になります。
プログラミング
PCを使った創作としてプログラミングもオススメです。
小学校では必修化され、得意になれば学校でも活躍できるかもしれません。
発達障害とプログラミングは相性が良いと言われています。もちろん人によりますが、特技となるかもしれません。詳しくはこちら↓
オススメのプログラミング教材は以下の記事で紹介しています。
自宅でできるロボット・プログラミング教材どれがいい?微細運動にも
まとめに「自分に自信がもてて、ほめられるものがオススメ」
「やってみよう!」と思えるものは見つかったでしょうか?
いろいろ紹介しましたが、結局大切なのは
本人がやってみたいと思うこと
そして上手にできたら、誰かに
ほめてもらえることです。
この記事が、お子さんの自信をつけるきっかけになれば嬉しいです。では、最後までお読みいただきありがとうございました。
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